不動産売買

親が亡くなり、実家を相続したものの、自分では住まない――そんなとき、どうすればよいのでしょうか?
使わない家をそのままにしておくと、税金や管理の負担が続くだけでなく、さまざまなリスクも生じます。
この記事では、実家を売却するまでの流れと、気をつけるべきポイントについて、わかりやすく解説します。
大切な家との向き合い方を、一緒に考えていきましょう。
■ 実家を売却する前にやるべきこと
まずは、すぐに売り出す前に、いくつか押さえておくべき準備があります。
1. 相続登記を済ませる
実家の名義が親のままでは、不動産を売ることはできません。
相続した不動産は、「相続登記(名義変更)」をして、自分の名義に移しておく必要があります。
手続きは法務局で行い、専門の司法書士に依頼する方も多いです。
2. 他の相続人と話し合いをする
兄弟姉妹がいる場合、売却には全員の同意が必要です。
「売りたい」「残しておきたい」など意見が分かれることもあるため、早めに話し合いの場を持ちましょう。
後々トラブルにならないよう、書面で合意を残しておくのがおすすめです。
3. 遺品整理を進める
家を売却するには、家の中を空にして引き渡すことが基本です。
親の家具や日用品、思い出の品々を整理する作業は、精神的にも負担が大きいですが、避けて通れません。
「遺品整理業者」に依頼すれば、片付けから貴重品の捜索まで専門的に対応してもらえます。
家をきれいにすることで、売却活動もスムーズに進みやすくなります。
■ 実家を売却する流れ
準備が整ったら、いよいよ売却活動に入ります。大まかな流れは次のとおりです。
1. 不動産会社に査定を依頼する
まずは、不動産会社に実家の価格を査定してもらいましょう。
複数社に見積もりを取ることで、相場を正しく把握できます。
地域事情や物件の状態によって、売れる価格は大きく変わるため、慎重に比較検討することが大切です。
2. 不動産会社と媒介契約を結ぶ
売却を依頼する会社が決まったら、媒介契約を結びます。
「専属専任」「専任」「一般」と契約の種類があり、それぞれ売却活動の進め方が異なります。
担当者としっかり相談しながら決めましょう。
3. 買主を探し、条件交渉を行う
不動産会社が広告を出したり、内見の対応を行ったりして買主を探します。
気に入った買主が現れたら、価格や引き渡し条件について交渉を行い、双方納得すれば契約となります。
4. 売買契約・引き渡し
契約がまとまったら、売買契約を結び、代金の支払いと同時に物件の引き渡しを行います。
このとき、登記書類や印鑑証明などの必要書類が整っていることが前提です。
■ 気をつけたい「落とし穴」
● 売れるまで時間がかかることも
立地条件や建物の状態によっては、売り出してから半年以上動かないこともあります。
その間も固定資産税や管理コストがかかるため、長期戦を覚悟する必要があります。
● 建物の老朽化に注意
築年数が古い家は、買主から「解体して更地にしてほしい」と求められるケースもあります。
解体費用(100〜300万円程度)は売主負担になる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
● 税金の負担
不動産を売った利益には、譲渡所得税が課せられる場合があります。
ただし、「相続空き家の3,000万円特別控除」が使えるケースもあり、適用すれば税負担を大きく抑えることが可能です。
不安な方は、税理士や専門家に早めに相談しておきましょう。
■ まとめ
親から受け継いだ家には、たくさんの思い出が詰まっています。
そのため、整理や売却にはどうしても心の整理も伴います。
しかし、空き家のまま放置することはリスクや負担を生み続けるだけになりかねません。
「実家を手放す」という選択は、次の世代に負担を残さないための前向きな行動でもあります。
なお、相続不動産の売却や遺品整理に関して専門的なアドバイスが欲しい方には、「市民遺品整理組合」もおすすめです。
遺品整理のみならず、不動産や相続に関する無料相談も受け付けており、頼れる窓口として幅広くサポートを行っています。